朝7時勤務。まだ太陽が昇りきらず、冷たい空気が足を伝ってくる。お客さんも起きてこず、フロントは鳥のさえずりが聞こえるだけ。
バタッ
すごい音がしたと思うと、
「トゥッケ?!」と女性スタッフの悲鳴が静けさを裂いた。
そう、時々ドタッとかバタッという音とともに、トゥッケーの子どもが天井から落ちてくるのだ。ヤモリサイズぐらいだけど、ずしりとつまったような音。ヤモリだとペシャなのに。でも今回は違った。大人のトゥッケーだった。子どもの腕ぐらいある。床に落ちたトゥッケーはショックと痛さで動けない。何しろ5メートルはある天井から落ちたのだから。
床に放っておくと誰かが踏むかもしれないので、捕まえて草むらに逃がすことにした。男性スタッフが手づかみで抑えようとすると、恐竜のようにカーっと口を開けて威嚇する。首を押さえて持ち上げようとするが、手足はタコの吸盤のように床に吸い付き離れない。何とか離したと思ったら、今度はスタッフの腕にへばりつく。
草むら近くにある柱にひっつけて逃がして一件落着。ああ、びっくりした。