友達とデパートに涼みに行ったら、献血をしていた。日本では何回かしたことがあるけど、「イギリスに半年以上いた」と言うと煙たがれる。狂牛病があるからだ。それに加え、「タイにいました」なんて言うと、係りの人がどうやって断ろうかうろたえる。さっきまで「献血お願いします!」なんて街頭で大声で言っていたのにだ。「もらえるならもらってみろいっ」という気分になる。
「タンブン、タンブン」と徳を積むのが好きなタイ人の友達は献血に誘う。試しに行ってみると、「昨日お酒を飲みましたか?」「薬を飲んでいませんか?」「昨晩、睡眠をちゃんととりましたか?」だけ。早速、献血をすることにした。だけど、友達は薬を飲んでいるから断られてしまう。
アンケートに答えて、血液型の検査をして、エスカレーター横のベッドに横たわる。行き交う人が見ていく。血はいくらあげてもいいけど、針を刺されるのはいつになっても怖い。健康でいられることに感謝する瞬間だ。採血は体重が45キロ以上だと300ml。日本は200mlだから、少し多目。
終わると、シロップのような甘い水とチョコレートのスナックを2本くれた。それと一緒に、真っ黒の丸い薬も。赤血球を増やすのかよく分からないけど、とにかく血液に栄養を与える薬。1日1錠飲むとある。飲むつもりはないけど、注意書きに「便が黒くなるかもしれません」と書いている。15錠も入っている。試しに飲んでみるか。