ホラー・マッサージ?

お寺の横に掘っ立て小屋がある。久しぶりにそこへ行ってみた。そこは知る人ぞ知るマッサージのお店だ。がらんとした部屋にマットレスが2つ敷いてあるだけ。マッサージ師はおばちゃん2人。私を担当した人はおばちゃんと言うより、「お姉さんおばあさん」という雰囲気を持つ人だ。長い髪を後ろで1つに束ね、両腕にじゃらじゃらとブレスレットをつけている。インド人のような顔立ちで、小枝のように細く、血色が悪い。
「奥様、今日は健康な若い娘の血が入りましたね」
と横の恰幅のいいおばちゃんがにやり笑ってもおかしくないような雰囲気でマッサージが始まった。
その折れそうな指先が私の足を触るとひやり。つ、冷たい。もんでいくと力が入るので、マッサージ師は暑くなるのが通常だけど、彼女の場合はもんでももんでもひんやりしている。だから私の足はどんどん冷えていく。
マッサージの本当に上手い人は、相手の悪い氣を吸い込み、終わるとどっと疲れるという。逆に下手な人だと、お客さんがやたら疲れて、自分は終わるとすっきりしているという。
そんな言葉がふと頭に浮かんだ。彼女は私の生気を吸い込んでいっているのではないか。
なんて1人アホなことを考えて横になること2時間。冷たい手先は変わらないけど、ぐいぐいとツボを押して体をひっぱる力の強いこと強いこと。仕上げはハーブを包んだガーゼを蒸して温め、それを全身に押し付けてくれた。少し熱めなので、終わった後は温泉あがりのように体はポカポカ。
はあ、気持ちよかったけど、なんか疲れたのだ。

投稿を作成しました 1995

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