チェンマイで一番大きい庶民の市場、ワロロットへ行くと、なにやら人だかり。救急車のサイレンが鳴り響き、消防車まで出動している。火事か?
近くにいた若い子に事情を聞くと、ビルの上を指差して男性が飛び降りようとしている……と息を荒く説明してくれた。北部弁でべらべら話すうえ、興奮しているので、それだけがやっと理解でき、なぜ飛び降りようとしているのかが聞き取れない。
よく見ると、ピンク色のTシャツを来た若い男性が柵のないビルの屋上をうろうろしている。麻薬常習犯か? などという声も周りでささやかれる。
何人かに事情を聞こうとしたけど、皆北部弁で話している。それでもやっとわかったのは、この男性は市場で女性のカバンをひったくり、警察官に捕まったと。だけど、途中で逃げて、屋上にのぼったと。要するに、思いつめた自殺志願者でもないし、よくいる麻薬中毒患者でもない。さすがにひったくりだけで、飛び降りはしないだろう。
結局、なかなか飛び降りない男性を見て、群集がばらけていった。
飛び降りなくてよかった、よかった(最後まで見ていないけど、たぶん)。だけど、そのまま柵の中に入れられるが。