アパートにインターネットが接続されてから、友達の部屋にある10年前ぐらいの古いコンピューターが再利用されることになった。インターネットなんて全く無縁で、使うとしたらゲームだけ。マウスはなんとか動かせるものの、どこに何を打っていいのか、ネットはどうやって立ち上げるのか……そんなことすら分からない家族だ。
学校に持って行く写真を探すため、小学校4年生のS君がおばちゃんと一緒にネットをいじっている。何をどうしていいか分からないので、私が「検索」に探している言葉を入れればいいんだよと説明する。
「動物」(サット)の写真が欲しいとS君が言い、ゆっくり1本指で「サ」と打つ。すると検索の四角の中に、今まで検索した「サ」の項目がずらりと出てきた。以前も「動物」を探したのか、まず「サット」が出てきた。そして、サムンプライ」(ハーブ)、「ササナー」(宗教)、「サーオ」……と。
その瞬間3人が「えっ?」と動きが止まった。「サーオ」といったら、「女」だ。誰が「女」を検索したのだろう……!
S君のお父さんだろうなあ、やっぱり。