一攫千金

 用事を済ませ、昼前にアパートに帰ると、友達のお父さんが500バーツを手にして出てきた。何やら私に頼みがあるらしい。
 「“18”の番号で宝くじを買ってきてほしいんだけど」って。
 おお、そうか、今日は宝くじの発表日。午後に番号が発表されるから、まだ間に合う。それにしてもなんで私? 娘がいるのに。あちこち回ってきた後だから正直疲れている。また外に出るのはちょっと億劫。それに“18”と番号指定があるので、その番号の宝くじを探し歩かないといけない。外はギラギラ太陽が照っている。
 でもどうやら私でないといけないらしい。私に買ってもらうとお父さんは決めている。なんか今回はそうすることで当たる気がするらしい。白羽の矢が立ってしまったのだ。
 こうなると行くしかない。また炎天下の中バイクを飛ばし、あちこち回る。宝くじを売っている人はいたる所にいるけど、下2桁“18”を置いている所はそんなにない。それも3セット買ってきてと言われている。
 ああ、お父さん。それにしてもそんな300バーツ近い買い物をしていいの? 300バーツなんていったら1日の稼ぎじゃないですか。そりゃあ、買わないと当たらないけどさ。そりゃあ、借金の返済にあてたいでしょうけどさ。でもさ、でもさ。状況を知っているだけに、胸が痛むよ。なんかさ、買う側も責任感じちゃうさね。
 選んでいると、隣の女性が“91”と言って、2枚買っていった。私は“18”を3枚購入。はたしてどっちが当たるかな。

投稿を作成しました 1995

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