野菜のカービング

　大家さんが野菜のカービングを習い始めた。
週末だけ、５回のクラスだ。
私が以前通っていた職業訓練校に行っている。
カービングは私が珍しく熱中したものだ。
毎日、毎日何時間も彫り続けていた。
センスはないけど、努力は成果として現れる。
結構、腕前があがった。
大家さんも普段から刺繍や粘土で花を作ったりするのが大好きな人だから、
カービングもあっという間に上達するだろうと思っていた。
なのに、大家さんは初日に帰ってくるや
「できない、もうダメだ」
と嘆いた。
学校でもお喋りな彼女は「難しすぎる！」などと先生に訴えていたに違いない。
そしたら先生に
「マリに教えてもらいなさい」
と言われたそうだ。

ということで、午後はずっと人参や大根を使い、大家さんとカービングをしていた。
だけど、私はほぼ１年間、ナイフを触っていない。
腕がすっかりにぶり、角ばったバラや菊の花しかできない。
才能がある大家さんは横でメキメキ腕をあげている。
　才能のない人はやはり、コツコツ毎日しないとだめだなあ。
（写真はプロの作品）