この頃、夜になるとものすごい匂いが漂う。タイヤやビニール、杉などを混ぜ混ぜにして一緒に焼いたような、表現できない臭さだ。それも日が暮れると匂ってくる。体に悪いと思い、窓を全部閉めるが、外に出るとぷ?んと鼻の奥にずんとくる。
タイ人の友達に「この頃、臭くてたまらない!」と嘆くと、「それは花の匂いだ」と言う。南国には夜に香りを出す花がいくつかあるけど、それにしても強烈な匂いだ。知り合いの日本人も「臭い!」と言い、タイ人の大家さんも「臭い!」と言う。友達のお母さんは「良い香り」と目をとろんとさせるけど……。
匂いの正体を探すと、アパートの横にある駐車場にあった。満開の花をつけた木が8本。1本でも強烈なのに、8本だ。近づいてみると、金木犀のような形をしていて、色は白。恐々かいでみると、ほんのり甘い香りがする。夜の臭い匂いとは大違いだ。
しばらくこの匂いが続くと思うと頭が痛いけど、ダイオキシンでなくてよかった。