象と向き合ってみたら…

bathing the elephant
象を飼っている人が象乗りに誘ってくれた。
家族でしている1日体験ツアーで、主に欧米人がお客さんだ。
このプログラムの特徴は、自分が「象使い」になること。
だから体を洗ってやるのも、餌をやるのも、背中に乗って指示するのも全部自分だ。
ちょっとドキドキする。
友達が来ると象キャンプで象に乗るけど、正直毎回とても怖い。
象使いもいるし、イスもついているから怖がることないのに、緊張感は象から降りるまで続く。
この恐怖はどこからきているかと記憶を遡ると、4、5歳になる。
家族で動物園にたまたま行ったとき、象が飼育係を殺してしまったのだ。
殺す瞬間も飼育係も見ていないけど、すぐ側にいたので、救急車の音や張りつめた空気、
血がべっとりついた床とか、おぼろげながらそんな記憶が残ってしまった。
だから今回誘われた時も、「行く!」と答えたものの、不安は消えなかった。

riding the elephant
でも面白いこともある。
車の中で顔を合わせたアメリカ人の参加者とたわいもない会話をしていた時だ。
私「チェンマイは初めてですか?」
B「そうよ」
私「象乗りも初めて?」
B「そう。あなたは?」
私「何回かあるけど、イスなしで乗るのは初めて。ちょっと怖くてドキドキしてます。あなたは?」
B「ちょっとね。でも、恐怖というのは向き合ってみるといいかも。怖がっていたら何もできないでしょ。そこで終わってしまう。でも自分の中の怖さ・恐れに向き合ってみたら、先が広がるかもしれないじゃない」

目からウロコ。
象というより、なんか人生の教訓を聞いたような気がした。

lunch time
彼女の言葉に勇気付けられ、象のドードーと対面。
「怖がっている氣」を出さないように、まずはバナナを5、6房やり、距離を縮める。
ドードーを座らせ、足に乗って背中や頭の汚れを落としたり、
川に入ってブラシで体をこすったり、砂で牙を磨いたり、
言われるがまま必死になっていたら怖さを感じる暇もなかった。

でもいざドードーの首に乗ると、また恐怖が襲ってきた。
象が怖いというより、吠える犬やこっちを睨んでいるカラス、
民家におりてきた熊などに持つような予期せぬ怖さ。
何しろ動物だ。
象使いのエー君が側にいるものの、人間の力に敵うわけがない。

なんて考え始めると、想像が暴走して、恐怖がどんどん膨らんでくる。
いかん、いかん。象と一体になろう、気持ちを切り替える。

bathing the elephant
それにしてもよく食べる、食べる。
一歩歩いては笹の葉をムシャムシャ、二歩進んではバナナの葉をバリバリ、
右に左にモグモグシャリシャリ、もう私は無力で乗っているのが精一杯。
エー君だけが頼りだ。
目的地に着いたら正直ホッとした。
でも、ドードーとサヨナラをする時や家に帰ってから写真を見るととっても愛おしく思えた。
ーということは、もしかして少しは怖さの壁が低くなったかも?!
詳しくは、パタラ・エレファントキャンプまで。 

投稿を作成しました 1995

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


関連する投稿

検索語を上に入力し、 Enter キーを押して検索します。キャンセルするには ESC を押してください。

トップに戻る