庭が欲しい。
食べた果物の種をそこら中にポイッ、ポイッと捨てる。
それでもお日様に照らされグングン元気に育つ植物たち。
気付くといつの間にか実をつけて私の胃袋と心を満たしてくれる。
でもそれは夢で、現実は宙に浮いている生活。
それでも妄想は膨らみ、知らず知らず足は植物市場へ向いていた。
まずパパイヤの苗を発見。
ベランダに置くので小さいのを1本5バーツ(約15円)で買う。
そしたら店の人が「オス」かも知れないのでもう1本買っといたほうがいいよ」って。
パパイヤを育てたことは何度かあるけど、性別があるとは知らなかった。
今まで全部実がなっていたから。
忠告通りもう1本購入。
「だけど2本ともオスだったら?」疑問がわく。
すると店の人、「んー、それはもうあなたの運だね」だって。
宝くじみたいなもんか。
コーヒーの苗も欲しかったけど、これは見当たらず。
今度は野菜の種を探す。
炒めたらおいしそうな青菜の種がいっぱい。
だけどベランダだし、台所がない。
ということで、実がなったらそのままもぎ取って食べられるトマトの種を購入。
足取りが軽くなる。
花より団子なので花のコーナーは素通り。
でも「アンチャン花」が目につく。
豆の花特有の形をしていて群青色。
朝顔のようにつるが出てクルクル延びる。
実はこれ、お湯に浸すと鮮やかな群青色の汁が取れるのだ。
それを粉に混ぜてお菓子を作るとなんと淡い青色のお菓子のできあがり。
さらにライムを1滴たらすと紫色になるので紫色のお菓子もできてしまうのだ。
シャンプーにもあるので、きっと髪の毛をツヤツヤで黒くする効果があるんだろう。
これも欲しかったけど、売っているものは腰までの高さ。
バイクで持ち帰るのは大変だ。
よく見るともう花が枯れ、種ができている。
ちょっと図々しいけど、「この種少しもらえませんか?」って店の人に聞いてみた。
そしたら快くサヤを2つくれた。
振るとカラカラと種の音がする。幸せ。
早速アパートに帰り、植木鉢にパパイヤと種を植え、ベランダに置いた。
後は実がなるのを待つのみ。
そうそう、お腹を壊さなかったので、今度は牛乳を2本買ってきてヨーグルトも作った。
植物たちもヨーグルトもちゃんと育つといいな。
これって生き物を育てる幸せかな。食べる幸せかな。