この時期になると、どこからともなく奇妙な匂いが漂ってくる。
バイクに乗っていても、窓を開けても、ふわっと。
奇妙というより、はっきりいって臭いんだけど、まあ個人差があるから臭いと言うのもなんだ。
でも、私の好きな匂いではない。
匂いの正体はこれ。
トン・ティーンペット(トン・パヤーサタバン,
White Cheesewood , Devil Tree, Alstonia scholaris )という木。
アヒル(ペット)の足(ティーン)の木(トン)と呼ばれている。
葉がアヒルの足に似ているのかな?
こんな小さなかわいい花。
だけど、匂いが強くて強くて…。
バラの優しい香りというよりは、ユリとかイランイランとかの濃い香り系で、匂いはうーん…、説明しにくい。
ユリとイランイランと魚の臭いを混ぜた感じ…?(笑)
友達に言わせると、「死体の臭い」だって。
ドライアイスなしの死体の臭いはかいだことがないのでなんとも言えないが、ネズミの死骸とはまた違う臭いだし……。
でも、人によっては良い匂いなので、ちょっと説明がしにくい。
余談だけど、この間知り合いと話していて、彼は靴箱の匂いが好きだと言っていたので、匂いや味は好みだろうなあ。
こんなに花を咲かすのだから匂いもすごい。
街路樹になっているところもあるので、気分が悪くなる人も多い。
でも、この匂いがしてくると、「ああ、雨期も終わり、乾季(冬)に入るなあ」と思う木だ。
金木犀のような、季節の変わり目を告げる花でもある。
でも、「やっぱり臭い! 耐えられない!」と言って切ってしまう人もいるみたい。
切るかは別として、私も庭にはえていたらいやかも。
だけど、「切らないで! 1年に1度だけだから。悪いことより、良いことのほうがいっぱいだから! 」とニュースで出ていた。(写真:チェンマイニュース)
あるハーブのサイトによると、
樹皮は、赤痢、下痢、慢性下痢、腸の病気と腸の感染症、発疹、
樹液は、虫歯や耳痛、
葉は、壊血病、傷、潰瘍、膿疱、関節痛 などに効果があるとか。
他にも、 寄生虫の駆除、食欲改善 血糖値を下げる、風邪、咳などなど。
すると「花を1キロ1バーツで買います!」という人が出てきた。
ティーンペットは薬草の一種なので研究をすると。
花は解熱作用があるので、研究すればコロナにも効く薬ができるかもしれないしと。
花を摘んでしまえば住民も喜ぶし、薬にできれば一石二鳥だ。
そして彼はメージョー大学と一緒に研究し、まずは花を3日間干してハーブティーにしてみた。
すると、生花の匂いはなくなり、舌先にほんのりと苦みと甘味を残す、良い香りのハーブティーができたとか。
今後、ミントやステビアを入れて味と香りを研究する予定。
6キロの生花から1キロのドライフラワーが取れる。
研究所の匂いを想像しただけでむせ返りそうになるが、ティーンペットはインフルエンザや熱に効果があるだけでなく、品種によっては、水たまりの蚊の幼虫駆除にも使えるという。
ゴミ処理されるものから価値のあるものへ。
ちなみにこのハーブティーの名前は、「デビル・ティー」 。
製品化されたら飲んでみようっと。