少し体熱がある気がする。
「風邪だからそこのファータライジョーンを噛みなさい」
とお母さんは花壇を指して言う。
風邪にファータライジョーン、なんかそんなうたい文句があった気がする。
良薬口に苦しではないけど、この葉はめちゃくちゃ苦い。
1度噛んだことがあるけど、最初は若葉の青臭い味がして、
「なんだ、甘いじゃん」なんて思うけど、すぐにどひゃ?と苦さが舌に広がる。
木の幹を剥がして、焦げるまで焼き、それを石うすでついて飲んだら
こんな味がするんだろうな……という苦さ。
「噛んだら苦くて苦くて、喉に舌にじわじわくる。
白湯をその後飲んでも、いつまでもいつまでも喉に残っているぐらい苦い。だけど、効く」
とお母さんも言う。
それならばと、既製品の薬(漢方?)を買ってみた。
透明のカプセルに入っていて、
モスグリーン色の粉がぎっしりと入っているのが透けて見える。
なるほど、これなら苦くない。
しかし、しかしだ。私は錠剤もカプセルも飲めない。
粉薬しか飲めなく、努力しても結局は口の中で溶けるか砕くかして喉を通している。
だからカプセルなんて問題外。
試しに、口の中に放り込み、飲む努力をしてみた。
ゴクン、ゴクンと何度も飲み込んでも、喉を通るのは水のみ。
そのうちにカプセルが溶け出し、ふにゃふにゃしてくるのが分かる。
早く飲まなきゃ、飲まなきゃと思っているうちに、カプセルが破け、
粉がわーっと口中に広がる。
に、にが?い!
震えるほど苦い。
一気に飲み込んだけど、3錠飲み終わる頃には、冷や汗かいて、お腹はたぽたぽだー。