お寺の生活(得度式)

得度式の托鉢 短期出家したS君。初日早々、家に電話がかかってきた。
「今朝、なんで来なかったの? 托鉢に行ったらね、鉢に入らないほどの食べ物をもらったんだよ。見せてあげたかったのに」
 嬉しくて嬉しくて皆に伝えたい気持ちは分かるし、こちら側も嬉しいけど、電話していいのだろうか……。
 早速、次の朝、おばあちゃん、おばちゃん、いとこなどがぞろぞろと食事を喜捨しに行く。鉢に入りきらんばかりの食事をまたもらい、どうしていいか分からず、おばちゃんのところへ歩み寄るS君。
「おばちゃん、ちょっと手伝ってよ」
 すっかり甥っ子に戻っているS君。女性は触れてはいけないので、テーブルの上に置くよう指示したとか。
 そんな調子で小僧生活をしているS君。明日、還俗するというので、今朝お寺へ行ってみた。1日2食の生活だから、64キロの体重もぐっと減っただろうと楽しみだった。
 このお寺は、修業する一般の人も多く寝泊りしている。市外にあるため、僧たちは托鉢へ行くのではなく、尼さんが食事を作ってくれる。だから、私たちがお寺へ行った時、S君はすでにご飯を食べていた。その後、庭を掃き、7時から境内で托鉢をする。これは、修行に来た人たちが食事を喜捨するためだ。S君も鉢を首からさげ、僧に混ざって1列に並んで、裸足で歩いている。まだあどけないけど、9歳のわりには背が高いし、太っているので、さまになっている。どうやら痩せてはいないようだ。きっと正午以降は固形物を口にしてはいけないから、必死になって食べているのかもしれない。以前、3ヶ月お寺で修行をしている欧米人に会ったことがあるけど、とてもぽっちゃりしていた。その人が食堂で、朝昼とお皿に山盛りにのった料理を食べているのを見て納得したものだ。
 托鉢が終わったので、S君とおじいちゃんが寝泊りしている部屋に行ってみた。托鉢でもらった食事や豆乳などはその場でカゴに集めて皆でお昼にたべるけど、もし欲しければ部屋に持って帰っていいらしい。いくつか鉢に残ったものを持って帰るS君。部屋に着くなり、もらった鶏の唐揚げとごはんをムシャムシャ食べ始めた。これだったら痩せないだろうなあ……。
 まあ、それでも毎朝4時に起きて、掃除をし、お経を読み、瞑想をし、様々なお寺の行事に参加し……、成長したんだろうな、きっと。

投稿を作成しました 1997

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