朝11時に剃髪。眉毛と髪の毛を剃ったS君はちょっと大人びて見える。
この時点で、女性とあまり馴れ馴れしくしてはいけないけど、ついつい我を忘れてしまうS君。お寺の案内をするために、私の手をぎゅっと握って一緒に歩き出す。それが可愛いくていつものように抱きっ?としたくなるけど、そっと手を離す。
午後から得度式が始まった。僧になる成人男性2人と小僧のS君、そして親戚一同が本堂に集まる。白い服からオレンジ色の袈裟に着替える儀式が終わると、そこで「こちらの人」ではなくなる。小僧のS君は私たちより高い座布団の上に座るし、私たちがS君に頭を下げて合掌することになる。そして、女性は絶対に僧・小僧の体に触れてはいけない。
その最低限は守るけど、やはりお互い慣れていない。写真を撮る時は、ついつい
「S、ほら、S、こっち向きなさい」
と名前で呼んでしまい、
「あ、もうSと呼んではいけないんだ。小僧さん、こちらを向いて下さい」
と言い直す。S君も自分のことを名前で言ってしまいそうになり、「アタマー」(お坊さん用語で「私」)と照れて言い直す。幼稚園に通うS君のいとこが帰り際に「バイバイ」と手を振ると、S君も振り返してしまい、おばちゃんが
「もう小僧なんだから、手なんて振ってはダメだよ、君!」
と子ども扱いして注意したり。ずっと笑いの連続。
7日間、修行した後には、少しは「小僧」らしくなっているだろう。