この間食堂でレモングラスが入った香りのいいピリ辛料理を食べた。
その味が忘れられなく、厨房の肝っ玉母ちゃん(コック助士)に作り方を聞いてみた。
すると「ちょうど私も食べたかったのよ」と乗り気。
早速一緒に作ることにした。
お母ちゃんは仕事があるので、私が庭に落ちているヤシの実を削る
作業にとりかかった。
使うのは熟したヤシの実。
中を割ると1cm強の厚さがある純白の果肉がついている。
それをガリガリと削るけど、人参ほどの硬さがあるので結構重労働。
慣れていない私だと30分はかかるし、肩も腕もコリコリ。
(飲むヤシの実は若いので柔らかい)。
ボールいっぱいに削ったココナツはレッドカレー・ペーストや砂糖などと混ぜて煎る。
水分が蒸発し、そぼろ状になったら出来上がり。
それをごはん、スライスしたレモングラス、コブミカンの葉、きゅうり、
いんげんなどと混ぜ混ぜして食べる。
カレー色の中に野菜の緑色が散りばめられ、見た目が鮮やかでお腹が鳴ってくる。
一口パクリ。
ちょっとピリ辛でハーブの爽やかな香りが口に広がり、
生野菜のさっぱり感も手伝い、幸せな味。
ボールいっぱい作ったのに、皆であっという間に平らげてしまった。
私もどんぶり2杯食べ、お腹がはちきれそうだ。
でもこれは本当は貧しい料理だったそうだ。
肉も使わず、庭先にあるもので済ませてしまう家庭料理。
もっとも「おいしい」ので後に金持ち層の口にも入るようになったとか。
それでもまだ家庭料理で、レストランではほとんど見かけない。
家庭でもココナツを削るのが面倒で作らなくなってきているとか。
これもヤシの木があり余っているサムイ島ならではの料理。
私が継承者になろうではないか。