チェンマイから北西へ約3時間車を走らせた所にフエイ・ナム・ダンという山がある。
車で頂上まで行かれる手軽さがあり、疲れることが嫌いな人(?)に人気がある。
そこにテントをはり、早朝、海雲と朝日を拝むのがタイ人の恒例になっている。
特に正月休みを利用して来る人で冬の頂上はさながら東京のような賑わいだ。
そして私も園山へ行くことになった。
私の親友の友達がバンコクから来ることになったのだ。
普段からあまり旅行に縁がない親友は大ハリキリ。
だけど私は正直どうなることやら不安。
この親友、とてもチャーミングなんだけど、何しろ我まま君。
汚いのが一切ダメ。
私が旅行に行く度に一緒に行くとごねるけど、
私のようなバックパッカー旅は絶対にできない。
トイレが汚いのも寝る所が汚れていてもダメ、難儀するのも嫌。
だけどリッチな旅ができるお金はない。
だからいつになっても旅行ができないでいる。
山へ行くというお誘いに彼女は大喜び。
それも公共のバスでなく車で行かれる。
その上バンコクの友人たちが全部払ってくれるときた。
早速荷物をまとめる私たち。
でも彼女の荷物を見てびっくり。
なんと普段使っているキングサイズの掛け布団と厚さ5センチのマットレス、
ふかふか枕を持っている。
「人の寝袋で寝るなんて!」とわけの分からないことを言っている。
これで山へ行くのかい?
まあ車だから問題ないけど。
一応彼女、これでも小さい頃は電気のない田舎で
泥んこになって走り回っていたらしいんだけどね。
山へ着くともう一面にテントがはってある。
寝袋も貸してくれる。
そこへ自分たちの荷物を運ぶだけの楽々作業だ。
私から見ると物足りない感じ。
でもテントに入るやいなや彼女
「自分の部屋が恋しい。自分のトイレが恋しい!」と嘆く。
「あんた悪いことは言わないから、さっさともうお家に帰んなさい!」
私はあきれて言う。
でも彼女、口ではブツブツ言うけど、すごく楽しんでいる。
星を見て喜んだり、海雲を見てはしゃいだり、とても無邪気。
寝る時も自分の布団をかけてはいたけど、ちゃんと寝袋に入っていた。