嫌だ、嫌だと断るのに周りの人に強制され、とうとう山をジョギングすることになった。
スタートは朝の5時。
まだ星や月がキラキラと輝いている。
空気が冷たく、吐く息が白い。
来月、チェンマイのステープ山でマラソン大会がある。
山の上にあるお寺まで12キロ走る。
それに参加するからと、練習することになったのだ。
私は大会に出るつもりは全?くない。
なのに無理矢理付き合わされた。
練習は半分の6キロ。
平坦な道でも疲れるのに、ましてや坂。
苦しいことが嫌いなはずのタイ人が喜んで走るのだから信じられない。
それも40代から上は67歳のおじさんまでがタッタッと軽やかに走っていく。
私は渋々遅れて走り出す。
寒さと心拍数の急上昇で心臓発作を起こしてはいけないのでなるべくゆっくり走る。
苦しくて苦しくて5分も走ったら息切れがして歩くしかないかと思ったけど、
思ったより苦しくない。
普段ジョギングしているせいか。
それとも左を見るとチェンマイの夜景が広がり、
上を見ると月と星が応援してくれているせいか。
時々風が頬をなでて、ポッポとほてった体を冷やしてくれる。
サウナに入った後、水風呂につかるような心地良さだ。
50分ほど走り、無事終了。
空が桃色に染まり始め、遠くのほうに山のシルエットが180度広がり、
“オー、ビュウティフル!”
いっぱいα波が体に浸透していき、心身ともに浄化されていく気分。
でももう走らないぞ。