「何袖につけているの?!」
洗濯屋の友達が高い声を出した。
私は彼女に指摘される度に、以前塾で教えていた小中学生を思い出す。
子どもたちは私たち大人を見ていないようで、実は細部までよく見ている。
「先生、そのイヤリング新しいね」
「そのネクタイ昨日と一緒だ」
「ワイシャツ、アイロンかけていないね」
などと瞬時に見抜く。
私たち大人は目の前にいる先生がどんな格好をしているか
まったく頭にないのに。
洗濯屋の彼女も洞察力抜群だ。
私が今日着ていたシャツの袖口には
5センチほどの紐がいく本もぶら下がっている。
お昼に「血入りラーメン」を食べたときに、
ぱしゃっと1本の紐がスープに入った。
私にとってはよくあることだ。
今回は先っぽだけでまだいいほうだったけど、友達は目ざとく見つけた。
「マリが洗濯に出す服は染み抜きしないといけないから大変! いらない!」
そう文句をたらたら言う。
でも、ちゃんときれいに染み抜きをしてくれる彼女は可愛いと思う。