パリパリのおせんべい、カーオ・ケープ

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「カーオ・ケープ」という食べ物をご存じだろうか。
うちわほどの大きさの薄いおせんべいだ。
お祭りなんかがあると天秤棒にひっかけて売っている姿をよく見るが、普段でも市場でたまに売っていることがある。
そうっと持たないとパリパリッと割れてしまうほど繊細で、口の中に入れるとパリパリッ、しゅわっと溶けていく。
原料は、もち米とゴマと塩といういたってシンプルな味なのでいくらでも食べられるが、素朴すぎて既製品の濃い味に押され気味なのか、口にする機会が少なくなっている気がする。

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そのカーオ・ケープを昔から作り続けている村の1つがチェンマイの郊外、サンカンペーン郡にある。
祖父母、曾祖父母の代から、自身も子どもの頃から作っているというジョーイ・ジャンサマニーさん(65)にお話を伺った。

カーオ・ケープの朝は早い。
だいたい朝3時に起きて作業を始め、8時9時には終えている。
まずは一晩水につけたもち米を機械ですりつぶしていく。
以前は石臼を使っていたそうだ。
それに塩と黒ゴマを混ぜたら生地のできあがり。
使う調理器具は、大きな鍋。
それをかまどの上に置いて、湯をはり、ガーゼをかぶせる。湯気が立ち上ってきたら、生地をのせ、お玉でぐるぐるっと直径15㎝ほどの円を描く。
一見、タイのおやつ「カーオ・クリアップ・パークモー」のようだ。

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順々に8個ほどの生地をのせていくと、最初の皮に火が通っている。
「ほら、こんな感じで少しぷくっと気泡が入ったようになるでしょう。そしたらこっちに移すんだよ」

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その合図を見逃さず、すっと棒で生地を持ち上げて萱に並べていく。次から次にその作業を繰り返していくが、薄くてふにゃっと柔らかいので熟練の技が必要になる。
「今のように雨季だと空と相談しながら作らないとね。雨に濡れたらいけないから。この時期だとだいたい1日1000枚、乾季だと2000枚は作っているね」

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そう言いながらジョーイさんは萱の台をひょいと頭に乗せると身軽に干しに行く。
後は乾くのを待つだけだが、透き通ってパリッとすれば完成だ。

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天気にもよるが、数時間~半日ほどで台からはがすことができる。
乾燥したものは袋詰めにして売るが、今は注文に応じて作り、すべて買い取ってもらっているという。
値段は、1000枚で500バーツ。要望があれば、チョウマメの花やパンダンリーフで青や緑に色付けしたり、ココナッツミルクで味付けしたりするそうだが、定番は塩と黒ゴマだ。

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食べる時は、乾燥させたカーオ・ケープを炙ったり、油で揚げたりする。熱を加えるとみるみるうちにぷくっと膨れ上がり、うちわほどの大きさになる。
「この辺の人はお寺で行事があると、カーオ・ケープをお寺に供えるんだよ。このまま食べてもおいしいけどね、ナムプリック(野菜ディップ)とも相性がいいよ」
そう言いながら、薪で両面を炙ったカーオ・ケープを味見させてくれた。
口に入れるとパリパリッと割れ、お米の香ばしい味が広がる。シンプルなだけに飽きがこないので、いくらでもお腹に入る。
炙るそばから遠慮することも忘れぺろりと5、6枚食べてしまった。
炙りたてが一番おいしいが、もし市場やお祭りで見かけたらぜひ味見をしてみて。

投稿を作成しました 1993

パリパリのおせんべい、カーオ・ケープ” に 2 件のコメント

  1. SECRET: 0
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    カーオグリアップ は、食べたことがありますが、これも食べてみたいです。 それに、買いやすい値段です。
    出来立てを食べられたのは、うらやましい限りです。
    あー、タイのお菓子が恋しいです(笑)

  2. SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    りょうこさん、こんにちは。
    定期市でも焼いているのを見かけます。
    とくに乾季はイベントがもりだくさんなので、その時期だとチャンスも多いかも!

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