野生のハチミツ採りは命がけ(2)大群の蜂に襲われながらの作業

前回からの続き
4月下旬、森に採蜜しに行くという名人にチェンマイ郊外の森へ連れて行ってもらった。
朝8時半頃出発したが、どの時間帯に採っても構わないとのこと。
いつもチームを組んでいる5人が集合し、2人が木の上に上り、3人は地上で作業することになった。
木に上る人は2人とも60歳過ぎで、経験は十数年。
普段は農業の手伝いなどをしているが、3月下旬から4月にかけてはハチミツも採りに行くという。
毎年同じ場所に巣を作ることもあるし、違うところのこともあり、仲間が見つけると、皆に声をかけるそうだ。
蜂は雨期に入るとチェンダオの洞窟辺りで過ごし、暑い時期になると森に戻って来るとか。
3、4月は森に様々な花が咲くので、その蜜を集めるのだ。

ジャケットとズボンは3枚重ね着、軍手の上にゴム手袋をし、頭には米袋に網をつけたものをかぶり、長靴を履いて準備。
ツタを叩いてしばった松明に火をつけると、トントントンと身軽に木を登って行く。
見上げるような巨木で、70mはあるだろうか。
一応命綱はつけているが、見ているほうが怖くなる。

下ではロープを引っ張って、巣を入れる缶を上げたり、下げたり。
もちろん下の人も完全防備。

こんな上での作業。
枝の真ん中まで行って採ることもあるが、巧みに体の向きを変えて戻ってくる。
ミツバチはまだしも、野生の蜂。
前日は雨が降ったこともあり、蜂が殺気立っているという。
そんな中、煙をたいて蜂をはらい、巣を切って、缶に入れて、ロープで下におろす。
それもこんな木の上で!
しかも、蜂の大群に囲まれながら!
冷静な人でないとできない神業だ。

私は巨木から50メートル以上離れた斜面で見ていたが、木の上で蜂をはらうと、私のほうまで大群が押し寄せてきた。
松明は渡されていたし、一応網付きハットをかぶって、手袋をしてはいたが、ぶんぶんと音を立てながら体のあちこちにとまるので生きた心地がしない。
ミツバチと違って体も大きいし、煙をパタパタやってもひるまない!
「たとえ蜂が来ても絶対に逃げないように。逃げるとその人を集中して追いかけてくるから」
と言われていたので、瞑想気分。
蜂が今目の前を飛んでいる…、腕にとまっている… 、こっちに様子を見に来ている… 、私はあなたたちに危害を加えない… (蜂の巣を採っているから、私も加害者か)、大丈夫… 、大丈夫… 、と目の前のことをただ客観的に観察し、受け入れ、静かに呼吸するよう努力する。
でも、手袋の上からブスっと思いっきり刺された。
刺された、刺された、刺されたー!、痛い、痛い、痛いー! 
そしてまだ何匹か手袋にとまっていて、お尻を動かして今にも刺そうとしている!
冷静に、冷静に、冷静に、と自分に言い聞かせながら、少ーしずつ、少ーしずつ、後ずさりしていく。

そんな感じで巣を採るのを見学したが、木に上った一人は腕の何か所かに刺されたらしく、膨れ上がっていた。
あの高さで刺されながらも冷静に作業するなんてすごすぎる。

巣の表面を削ぐと、ポタポタと艶やかなハチミツが落ちていく。
透明の黄金色でさらっとしていて、フルーティー。
野生のハチミツはなめると、喉がじんとするのが特徴だ。
喉を覆う感じで、咳が出てもすぐに治りそう。
ガーゼで濾してからボトルに詰めるが、非加熱なので、上のほうに泡や分離したようなものが浮かぶ。

そして、蜂の子も栄養満点ということで、お土産にもらった。

バナナの葉に包んで、蒸したり、焼いたりして食べる。
薄い皮に包まれているので、口に入れると、ぷちっとし、柔らかい、ウナギのような食感の身が出てくる。
ハチミツがついているせいか、ほんのり甘い。
特にくせがなく、蜂の子とわからなければ、意外とパクパク食べられるかも。

ちなみに、よく市場でウィスキーのボトルに入れられたハチミツを見かけるが、それもこの森のハチミツか、庭先の野生のハチミツを集めたものだ。
「本物」と札がたっていることが多いが、中にはお砂糖が混ざっているものもあるとか。
水に入れるとすぐ溶けてしまうものや、冷蔵庫に入れて分離するものは偽物らしい。
実際どうなのかは買うまでわからないし、買ってもわからないかも。
いずれにしても、養蜂のハチミツや庭先の野生のハチミツとは香りも味も違うので、機会があったら食べてみて。

投稿を作成しました 1948

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