知り合いが「ヘット・コーンが1番美味しい!」と言っていたので、その旬を待っていた。
森に自生するキノコだ。
田舎の食べものが話題になると、私はたいていアパートのおばちゃんに話をする。
「ヘット・コーンていうキノコはどんな形をしているの?
どうやって食べるの?
もし見つけたら調理してね」とちゃっかりお願いもしておく。
時にはそれがワラビだったり、キノコだったりするが、
私が市場で買ってくることもあるし、
おばちゃんが手に入れて作っておいてくれることもある。
今日はキノコのお誘いがきた。
「マリの言っていたキノコが手に入ったから、食べにおいで」って。
私が友達と夕飯を食べに行くから味見程度に…と言うと、
「マリの分は唐辛子を入れないで作ったんだよ」とすごまれる。
私のためときたら、食べるしかない。
それにキノコは大好きだし、胃袋は伸縮自在なので、
喜んでおばちゃんの部屋へ行った。
キノコはヘット・コーンだけど、2種類あるらしく、
今回のは灰色で表面はつるんとして、傘が開いている。
それをカボチャのつるや茎、花と煮て北部風のスープに仕立ててある。
カボチャの茎やキノコの心地良い歯ごたえがあり、
あまりのおいしさに味見どころではなく、ぺろりと全部平らげてしまった。
そのおいしさ以上に、私はこのおばちゃんの暖かさがたまらなく好きだ。