プミポン国王の即位60周年記念の行事のため、ブータンの皇太子が6月にタイへ訪れた。ハンサムなうえ、どこでも丁寧に合掌をし、笑顔を絶やさず、とても紳士的な姿は、タイ女性の目を釘付けにした。テレビでも大きく取り上げ、街でブロマイドが売られるようになった。知り合いの50過ぎの看護婦さんも職場に写真を飾っている。また、ブータンへの旅行者も急増したと聞く。
そんな話も少し落ち着いたところに、洗濯屋をしている友達の店にブータンの青年が現れた。友達は明るい表情をして、
「今日、ブータンの男性が洗濯物を持ってきたよ!」
と喜んでいる。「背は低くて、遠くで見るとぱっとしないけど、近くで見るとなかなかの男前だよ」
その後、たまたま私がいるときに彼は現れた。30過ぎぐらいだろうか。笑顔がかわいく、気さくそうな感じだ。
このブータン男性の噂は広がり、アパートの女性は彼を一目見ようと洗濯屋でうろうろ。
「で、何歳なの?」
「なんでタイにいるの?」
「家族はいるの?」
話題は彼でもちきり。
「まだ2回しか来ていないから、そんな深い話聞けないよー! それにタイ語が話せないから、あまり質問できないし。でも、少しずつ聞くからね!」
友達は言う。話し上手の彼女なら、きっとあれこれ聞き出し、アパートの女性に教えてくれるだろう。
(写真:すでにブータンや皇太子の本が出ている。)