この頃メキメキ太ったSちゃん。体重はもうすぐ60に手が届く58キロ。痩せていた時に比べると10キロ太った。肩幅もたくましくなり、ずん胴、お腹は胸といい勝負。触るとぷにゅぷにゅして気持ちがいい。お相撲さんの体をぺちぺち叩きたくなるのと同じで、つい触ってしまう。以前、着ていたタンクトップは全部いとこにあげ、自分はだぼだぼのTシャツを着ている。
「やっとこれをはけるようになったよ!」
と言う彼女は、以前、太った時に買ったウエスト32のズボンを出してきた。痩せて着られるようになったのではなく、太って着られるようになったのだ。
そんなSちゃんと久しぶりにデパートへ行った。セール品が大好きな彼女、下着が安くなっているのを見ると、ワゴンの中を探し出した。赤や黒のレースがついたセクシーな下着が好きなSちゃんの横で、私が大きめのサイズでわきのお肉がたっぷり入るものを探してあげる。私はあくまでも本気だけど、彼女は冗談だと思って、「こんなの!」と彼女のお母さんがつけるようなゆったりしたものを見て笑っている。
「こういうほうがゆったりしていいって」と私と従業員のアドバイスを受けて、いろいろと試着してみる。
結局、買ったのは幅がたっぷり5センチはある、ホックが3つも付いているもの。そのうえ、色は肌色……。
「こんなのをつけるように自分がなってしまったなんてもう終わりだよ」
と嘆く彼女。
でも、次の日には、「これ、らくでいいよ。サバーイサバーイ!」と喜んでいる。
「後2、3着欲しいけど、痩せたら困るから、もう少ししてから買うわ」
痩せるかな……。