「絵本読み聞かせの旅」 @チェンマイ

絵本読み聞かせの旅
チェンマイへ来るオプションの1つに、
タイの子どもたちに絵本の読み聞かせをしに来るというのを加えてはいかがですか?
以前ブログで紹介したいとうみわさん
定期的に春と夏に組んでいる「絵本読み聞かせの旅」です。
子どもたちに絵本を届け、それを読んであげたり、一緒に絵本の中のお菓子を作ったり、
絵を描いたり、遊んだりして子どもたちと楽しい時間を過ごせます。
次回は3月にあります。
詳しくは以下をご覧ください。
絵本読み聞かせプロジェクト 
ツアーの内容・申し込み「タイ・チェンマイ 絵本読み聞かせの旅7日間」 ツアー概要

ちょっと記事は古いですが、いとうみわさんのインタビュー記事を読みたい方は
こちらをクリックしてください。↓

笑顔を届ける絵本読み聞かせプロジェクト
                           (2009.11.10 「ちゃ~お」158号掲載記事より)

いとうみわさん
 絵本を世界中の子どもたちに届けようと動き出した女性がいる。いとうみわさん(29)だ。もともと子どものために何かをしたい、子どもと一緒に何かできたらと思っていたが、それが具体的に形として見えてきたのは、2007年にバーンロムサイでボランティアとして働いていた時だ。その時、子どもたちに絵本の読み聞かせをしたのをきっかけに、日本に帰国してからその活動を広げていくことを考え始める。
 いとうさんはチェンマイへ来る前にカフェを経営したり、環境関係の仕事に就いたりしていたが、友達と絵本の制作もしていた。「ちんとすあまとふしぎなくり」というタイトルで、いとうさんが初めて手掛けた絵本だ。その出版を前にチェンマイへボランティアをしに来ることになるが、滞在中にその絵本が郵送で届いた。子どもたちにぜひ読んであげたいと思ったが、当初はタイ語がうまく話せなかったのでしばらくは部屋に置いていたという。でも、やっぱり自分が書いた絵本に対し子どもがどう反応するか見てみたくなり、みんなに読み聞かせてあげることにした。翻訳しながら片言のタイ語で話しているにも関わらず、子どもたちは理解し、楽しそうに聞いていたのでとても嬉しくなる。

ツアー:真剣に絵を描く子どもたちを見守るメー(お母さん)
 それをきっかけに、ホームにある絵本を順々に読んであげることにした。すると、みんな目を輝かせて聞き入り、図書館から自分で本を持ってきて、「これ読んで!」とおねだりする子もでてきた。絵本を読んでいる間は、膝に乗ったり、寄り添ったりして、子どもが大人との触れ合いを楽しんでいるのを強く感じたという。特にグループではなく、1対1で読んでいる時は、子どもが読み手を独り占めにできる特別な時間なんだろうなと思ったそうだ。
 当初は将来自分がプロジェクトを立ち上げるとは考えてもいなかったが、1年のボランティアが終わり、帰国してからその気持ちが大きく膨らんでいった。いとうさん自身が子どもたちと過ごした時間を懐かしく思ったのもそうだが、いとうさんが帰ってからは子どもたちが絵本を読んでもらう機会が少なくなってしまったと聞いたからだ。保母さんもスタッフも子どもと常に触れ合っているが、なかなか「絵本を読む」時間がとれないのだ。

ツアー:絵本を一緒に読むことは、肌と肌でもコミュニケーションをとっているのかも。
 いとうさんの中で少しずつ、「親がいなくて絵本を読んでもらえない子どもたち、親がいても貧しくて絵本を手にしたことのない子どもたちに絵本の楽しい時間、読み聞かせを通じての触れ合い(子どもたちが愛されていると感じる時間)の時間を届けたい」そういう思いが強くなり、絵本読み聞かせのプロジェクトを立ち上げることにしたのだ。
 ただ、ボランティアでやるには限界があるというのも感じていた。現地のボランティアに読んでもらったとしても、その人の都合でキャンセルされることもある。実際にそういうことを何度か経験していたので、なおさらボランティアではなく、利益を出してこのプロジェクトを継続させようと決心した。 
 思い立ったらすぐ行動に移すいとうさん。企画書を作って、様々な方面の人からアドバイスをもらい、「絵本読み聞かせツアー」を実行しようと旅行会社に話を持ちかけた。行先はいとうさんがボランティアしていたチェンマイ。そして自分がずっと読み聞かせをしていたバーンロムサイの子どもたちを対象にした。
 ツアーの日程が決まると、知り合いのラジオ番組に出演したり、大学でビラを配ったりして参加者を募った。その間にも、日本在住のタイ人に絵本の翻訳をお願いした。日本語の絵本にタイ語訳とカタカナ表記をつけ、実際にタイ語で読んだものを録音してもらった。出発前には参加者を集めて、1人1冊ずつ絵本を渡し、出発までに練習してもらうようにお願いした。

ツアー:工作するときもメー(お母さん)が一対一で手伝ってくれて安心のようす。
 そしてついに今年8月と9月に最初のツアー、「笑顔を届ける絵本読み聞かせの旅」が実施された。1回目は4人、2回目は7人が参加。企画したものの、正直楽しんでもらえるか不安だったという。カタカナを読むだけではたして子どもたちに通じるのか、飽きてしまわないのか、参加者と一緒に楽しめるのだろうか……そんな心配を胸に抱えていた。でもいざふたを開けてみると、タイ語がうまく発音できなくても子どもたちが一緒に声を出して読んでいたし、日本語で読んでほしいという子もいた。なによりも寄り添って甘えながら読んでもらうのを子どもたちが喜んでいたし、参加者もそんな子どもたちといるのを楽しんでいた。初対面にも関わらず、「絵本」というものが、子どもと参加者の距離をあっという間に縮めてくれたのだ。

「ぐりとぐらのかすてら」ができあがり!
 参加者からは、「今度はもっと長く来たい」という意見もあり、手応えを感じたそうだ。まだ始めたばかりだが、この活動を続けていき、ゆくゆくはツアーの利益で現地の人にお願いして絵本を読んでもらう仕組みを作りたいという。「お金で?」と言われることもあるそうだが、お金を支払うからといって読む人に愛情がないわけではないし、そうすることによって「確実」に読み聞かせの時間を確保できる。それが大切だからだ。小さい時に読んでもらった子は絵本の楽しさを知っているので、大人になった時に自分の子どもに読んであげるかもしれない。語彙が増えるし、想像力も膨らむし、世界も広がる。
 うまくこのプロジェクトが回るようになったら、絵本にタイ語の翻訳を張り付けるなどの作業をHIV感染者にお願いしていきたいそうだ。また、まだずっと先のことだし、著作権の問題もあるが、いずれは絵本を世界各国の言葉に翻訳、ネット上にアップし、それぞれの国の人たちが自由にプリントアウトして子どもたちに絵本を読み聞かせてあげたいと夢を描きながら、着実に計画を練っている。世界の子どもたちに絵本が届くのもそう遠い未来ではないのかもしれない。 (文・岡本麻里/写真提供・いとうみわ)

投稿を作成しました 1995

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