私がよく行く屋台では、従業員にミャンマー人を数人雇っている。日に日にミャンマー色が強くなり、店にはアウンサンスーチーさんのポスターが貼られ、ミャンマーのスパイシー紅茶、お菓子などが売られるようになった。
お昼に何を食べようか迷っていると、ミャンマー人の従業員が、「パッ・カオソーイ」があるという。カオソーイといったら、チェンマイ名物のカレー・ラーメンだ。もともとはミャンマーからきたとか中国系イスラム人から伝わったとかいわれている。それに「パッ」がつくから、それを炒めてミャンマー風にしたものだろう。スパゲッティーのようにソースがかかっているものを想像して、胸を膨らませて注文した。どうせなら作り方を見せてもらおうと、調理場についていった。
まず油を入れ、豚肉を炒め、野菜を入れる。「野菜たっぷりでおいし?いのを作ってあげるからね」とおばちゃんが言いながら炒める。心が躍ってくる。
野菜に火が通ったから、そろそろカレー粉とレッドカレー・ペースト、ココナッツミルクを入れるかな……なんて思っていたら、麺を入れた。麺は少し太めで丸く、象牙色。ここで嫌な予感がした。「カオソーイ」という料理とは別に、同じ名前の麺がある。チェンマイではあまり見かけないけど、ミャンマー国境のメーサイ辺りではよく食べられている。もしかして、その麺を使った焼きソバのことだろうか……。
不安は的中。オイスターソースと塩、砂糖で味付けしてできあがり。ちょっとしょっぱかったのもそうだけど、あまりに期待が大きかったので、この落差にがっくり。2度と注文しないぞと思いながらモソモソ食べた。勝手に誤解したほうが悪いんだけどさ。