タイの男性2人と食事をした。1人は背が高くガッチリタイプ。もう1人は華奢でかわいらしい人。2人とも日本語が達者で冗談を交えて面白おかしく話す。
しばらく話していると、突然華奢な人がガッチリ君に
「ちょっと貸して」
と言った。するとガッチリ君はポケットから何やら取り出す。それを1枚取ると、華奢な人は、「あ?、蒸し暑くて汗かいちゃうわ」とでもいうように、あぶらとり紙で顔を拭き出した。冗談を飛ばしながらも、忙しく手を動かす。紙はみるみるうちに脂を吸って透明に変わっていく。
「1枚じゃ足りないわ」
とつぶやいている彼の言葉に、ふと自分の顔を思う。きっと脂ぎっているに違いない。私のおでこは黒光りする。ある友達はその光具合で
「ちょっと元気がないんじゃない? 私がキュキュッと磨いてあげる」
と私の健康状態を判断するぐらいだ。
きっと今夜もてかっているに決まっている。2人の男性が脂もないさっぱりした顔でいるのに、女性の私が光っていていいのだろうか? なんて思うといてもたってもいられなく、席を立ってトイレに行きたくなる。
といっても、私はそんな面倒くさいことしない。一応カバンの中にちゃんとあぶらとり紙が入っているけど。
それにしてもタイ人は女性、男性ともテカテカを本当に嫌う。あぶらとり紙はもちろん、常にベビーパウダーをパタパタ顔につけてテカリを抑えている。