野菜の彫刻をそろそろ卒業し、石鹸にうつろうかと思う。だけど石鹸は何度か挑戦したけど、結構扱いが難しく、花びらの先端がポロッと折れてしまう。極めればいいんだろうけど、ちょっと人と違うことをしないといけないななんて思い、ロウソクに手を出すことにしたのだ。
蝋を1キロ買ってきて、香りやクレヨンと混ぜ混ぜしながら湯せんで溶かし、丸い型に流し入れる。芯をさし、固まったら型からはずす。何回か分量を変えて硬さを調整し、彫りやすいか試してみる。
そこそこ彫りやすい硬さになったとはいえ、やはり蝋は蝋。硬い。順調に進んでいると思いきや、力が入り過ぎ、ロウソクを通り抜けスパッ。人差し指を1センチざくっと切る。注射をしているところを見られない私が動揺しながら止血する。大して血は出ないけど、切り傷ってしみるから嫌だ。
3個彫り終わる頃には、またナイフがロウソクを突き抜けて、今度は手の平にグサッ。鶴のくちばしのように尖っている。叫んでしまった。これも大した傷ではないけど、やっぱり心臓に悪いのだ。
左手で持って右手で彫るから、傷つくのはいつも左手ばかり。それでも1キロの蝋を彫り終わる頃には少し腕が上がっているだろう。それとも手がバンソコウだらけか。縫うほどの傷だけは避けたい。