隣りの郡まで取材へ行ってきた。市内の喧騒も30分走れば、静かな山に入る。象が道を歩き、村ではモン族の子どもが走り回る。
どんどん山道を登っていくと、チェンマイの連なる山々を見渡すことができる。ちょうど夕日が沈む頃で、景色は水墨画に桜の花びら色を薄くのせたよう。吸い込まれるように美しく、いつまでもいつまでも見とれてしまう。
こういう時いつも思う。
「やっぱりチェンマイ好きだな」
って。
透き通った山の風も吹いてきて、肌にひんやり気持ち良い。バイクを運転していたお茶目な男友達もセンチメンタル気分になったのか、ふとこう呟いた。
「あー、僕のボーイフレンドがここにいたらな」
女で悪かったね。