やっぱり田舎

鶏の解体明日は仏教の大切な日、三宝節なので、友達の実家のお寺へお参りに行くことにした。市内から車で約40分のメーテン郡にある村で、隣近所は皆親戚、村の人は皆顔見知りという所だ。私は「田舎」というものを持ったことがないので、休みになるとおじいちゃんやおばあちゃんがいる田舎に遊びに行く友達に憧れを持ったが、ここにはそれがある。田んぼや山、川に囲まれていて、真っ黒な子供たちが水遊びをしたり、人の家にあがり込んでおやつを食べていたりする。大人も同じで、あっちの家でおしゃべり、こっちの家でお菓子を食べている。男性たちは力仕事に借り出され、女性たちは料理を手伝う。何かあると助け合う。
 ーとまあ、よそ者が見ると憧れなんだけど、実際は関係がとても濃いので、親戚同士の問題もたくさんある。その辺は友達から度々聞かされているけど、よそ者の私としては田舎へ行くのは楽しい行事になっている。
 今回はお寺に供えるお菓子と料理を手伝った。バナナの葉を拭いて、切る。鶏1羽をつぶして、ハーブや野菜と和え、バナナの葉で包んでホーヌン・ガイ(「たっぷりチェンマイ」pg85)を作る。お菓子は緑豆を蒸して、豚肉やコリアンダーと混ぜ、上新粉+白玉粉で練った生地で包み、これもバナナの葉に包んで蒸す(カノム・ジョック)。ホーヌ・ガイは 50個ほど、お菓子カノム・ジョッグ(「たっぷりチェンマイ」pg81)は150個ほど作るので、昼過ぎから初めて、終わったのが夕方。娘が多い家は楽だけど、遊びに来た近所の子やおしゃべりに来たおばちゃんたちも手伝っていく。
 仕上がったものは、お寺にも供えるが、近所の人に配る。家庭によって具が違うし、味付けもさまざまだ。
「お砂糖の量が全然足りないねー。うちのほうがおいしいから食べてみなさい」
 なんて平気で言う人もいる。それでも家に置いていると、遊びに来た人が1つ2つと食べ、少しずつ量が減っていく。私たちも他の家に行って1つ2つと食べる。
 そんなこんなしていると夜になり、寝る時間がやってくる。外に出て、風で揺れる木や輝く月を見ると疲れがとれるし、やっぱり田舎はいいななんて思う。
 よそ者だからね。

投稿を作成しました 1996

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