クリッサダドーイの恋

　知り合いの人に誘われて、チェンマイ市内から車で30分ほどのクリッサダ・ドーイというリゾートへ行ってきた。そこは花が咲き乱れ、建物もスイスのよう。花壇のあちこちで家族連れやカップルがポーズをとりながら写真を撮っている。それを見て、ある友達を思い出した。
　彼女にはプレイボーイの彼氏がいて、彼と一緒にこの場所へ来た。そして、たくさん撮った写真を私に見せてくれた。写真の中の２人はそれはそれは幸せそうだった。
　ところが、この彼氏には実はもう１人彼女がいるうえ、別居中の奥さんがいる。それはもう前からお互い知っていて、それがらみでしょっちゅうケンカをし、関係はどろどろ。でも、それが数年続くと、「この関係のままでいくしかないね」と諦めがつくらしい。
　それでも、別れられるものなら、別れたい。でも、別れられない。何かきっかけがあれあば……と思っていたところに、彼女をくどく男性が現れた。映画を観に行ったり、ご飯を食べに行ったりして、彼女もこの男性を選ぼうと傾き始めた。
　それを知ったプレイボーイの彼氏。激怒して部屋に殴りこみ。もちろん、新しい彼はいないし、どこの誰だか分からない。そいつの電話番号を教えろ、と彼女に八つ当たり。彼女を何度もひっぱたいた後、２人で仲良く撮った写真をびりびりに破き、部屋中に撒き散らした。俺の側を離れるなんて論外だ、のように。自分には彼女と奥さんがいるくせに、欲張りで自分勝手な男だ。彼女に新しい彼氏ができたら、喜んであげればいいのに。
　結局、新しい彼は消え、以前と同じ状況が続いている。もう何年目だろうか。