遠いけど近いところ、ミャンマー

7日の8時のバスに乗ってタイへ戻ることを、ゲストハウスの人に昨日告げておいた。外国人の移動は自由ではなく、仮パスポートはイミグレに預けてあり、出発する時はゲストハウスの人が書類の手続きをしないといけないからだ。

早朝、中央市場でいつものナンを食べ、急いでゲストハウスに戻り、7時半頃チェックアウトをすると、宿のおばちゃんが
「あ、書類忘れていた。もう、間に合わないわよ。体調が悪くてねぇ」
と軽く言う。そんな問題ではない。もうバスのチケットは買ってしまったし、今日中にタイに入らないと私のタイ・ビザが無効になってしまう。文句を言っても始まらないので、とにかくなんとかしないといけないので急いでもらうと、やっと、
「今からこの子に書類を持たしてイミグレにやるから、あなたはバイク・タクシーでついて行きなさい」
おばさんはバイク・タクシーを探す。
その間に書類を持った青年は先に行くが、その足はなんと自転車……。

私はすぐバイクタクシーに乗り、凸凹の坂道を走ると、あっという間に自転車の青年に追いついた。バイクの運ちゃんが一言二言青年と交わすと、ぶるんっとイミグレまでバイクを飛ばした。
なんという矛盾! 
自転車の青年が書類を持っているので、私が先に着いても意味がないんじゃない!?
かといって私が書類を持っていっても手順がわからない。

イミグレはなんと町外れ。そのうえ、坂がたくさんあるところ。
私たちは無事イミグレに着いたものの、彼を待つ時間のロスは大きい。
「彼を迎えに行ってちょうだいよ」
と運ちゃんに頼むと、
「マイペンライ。もうすぐ来るから」
といたって呑気。イミグレの人も出てきて、同じように「マイペンライ」と。

「マイペンライじゃないよ。後10分でバスが出ちゃうんだよ」
と、むきにならいように笑顔で、かつ真剣に訴える。
するとバイクの運ちゃんが、分かったとばかりにバイクにエンジンをかける。
そこに、青年が自転車を押しながら登場。想像以上に早かった。恐るべきマンパワー。あの道のりをどうこいだのか。自転車のカゴがとれている。

手続きを済ますと、今度はそれをコピーしないといけないので、コピー屋へ向かう。またしても凸凹道だ。市内までバイクと自転車を飛ばすと、コピー屋は閉まっている。急いで次のコピー屋へ向かう。
やっと見つけたものの、町は停電……。おじさんが自家発電機をえっちらおっちら2階に運び上げ、とんかんとんかんとやっている。もうここまで来ると喜劇。笑いさえ出てくる。もうどうでもいいやって。時計の針はもう8時だし。

しばらくして、電気がつくけど、コピー機はウォームアップが必要。5分ほど待ち、手差しでびゅーん、びゅーんと1枚ずつコピーをしていく。タイ国境までに設置されているチェックポイントで渡す書類を19枚用意しないといけないのだ。
1枚、2枚、3枚……と順調にコピーしているけど、きっとまた何か起こるんだろうなと思っていると案の定、19枚目で紙がひっかかる。
おかしくておかしくて笑いが出る。

それをなんとか引っ張り出し、青年とサヨナラして、バイク・タクシーでバス停へ直行。すでに8時15分。だけどバスは待っていてくれた。イミグレの人が電話しておいてくれたのだ。バイクの運ちゃんにお礼を言って、バスに無事乗り込んだ。

タイまでたった170kmの距離なのに、なんと遠い道程のことよ。
ま、そこがまたいいんだけどさ。


投稿を作成しました 1997

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