私が市場へ行くというと、友達のお母さんから
「ミヤンを買ってきて」
と頼まれた。
洗濯屋の仕事が忙しく、口さみしい時に噛みたいという。
若い人だったらチューインガムを欲しがるところだろうか。
ミヤンは、お茶の新芽を蒸して発酵させたものだ。
しっとりしていて、指で引っ張って葉を抜き、口に含む。
年配者の嗜好品とでもいおうか、
村へ行くと、ミヤンをモグモグしている人をよく見るし、
人が来ると出されることもある。
「若い人が食べるの? それとも年寄り?」
店のおばちゃんが聞くので、まだお母さんは50代だけど、
「お年寄り。渋いのがいいそうです」
と答える。
渋いのと酸味があるのと2種類あるからだ。
すると、ごそごそと袋から渋いミヤンの塊を出してくれた。
これで20B(約70円)。
ミヤンと一緒にショウガや塩、煎りココナッツ、甘いタレなどを好みで食べる。
味はタバコの葉を噛んでいるようで、噛めば噛むほど渋味が出てくる。
私はすぐ出してしまったけど、お母さんは喜んでいつまでも噛んでいた。