「ライチーの季節までには絶対に帰るからね」
とタイを出る時に友達に約束して早1ヵ月半。そろそろ戻ろうかとは思っているけど、ちょこちょこした雑用がある。
たしか去年もこの時期に日本にいて、雑用に追われていた。そしてライチーが市場に並ぶ前に戻ろうと思いつつ、見逃してしまった。
私はフルーツでマンゴーが一番好きだけど、ライチーも大好きだ。皮をぎゅっと手で押し、ぺりっと剥くと中から乳白色のぷりんとした実が出てくる。口に放り込むとしっかりした実が歯にあたり、かむとじゅわーっと甘酸っぱい汁が口に広がる。甘すぎないからいくらでも食べられてしまう。
チェンマイに住み始めた頃、友達が見たこともない大きなライチーを農園から持ってきてくれた。普通のライチーより一回りも二周りも大きく、立派だった。その名も「ジャカパット・リンチー」(天皇ライチー)。 友達は「酸味が強い」と言うけど、そんなことはない。文句なしにうまい。
ちょうど私がタイを出る頃、あちこちの庭先でどんぐりサイズのライチーが鈴なりになっていた。だからきっと今頃はぷくぷく太って、緑色から薄桃色に色づき始めているのではないかと想像する。
急がねば! 何しろライチーの季節はとても短い。ぱっと出てぱっと消えてしまうのだ。