クレアも一緒にキナバル山へ行くというので、一緒にバスで向かった。
市内から88キロ。
2時間ぐらい走ると、窓から空を突き刺すような岩山が見えてきた。
とても冷たい印象を受ける。
果たしてあそこまで無事にたどりつけるものだろうか。
緊張感が高まってくる。
というのも、こんな話をクレアから聞いたからだ。
彼女がエベレストを目指し、2週間かけて仲間と登っていたという。
そこに途中から参加した人が飛行機でやってきた。
彼はその夜すごい頭痛をうったえ、薬を飲んで寝たという。
だけどそれっきり目を覚まさなかったとか……。
山は必ずガイドがつかないといけないという。
私のガイドはこの道15年のダピットさん。
小柄だけど、骨密度が高そうなどっしりした人だ。
彼を先頭に木々の中を歩いていく。
所々、休憩所や水補給所、トイレがあり、
体力さえあれば誰でも気軽に登れる山という気がする。
若い女の子や学生もいるところが富士山に似ている。
ただ、富士山は岩だらけで、ひたすら登る山だけど、
キナバル山は木々や花、ウツボカズラがあるし、
標高が上がるにつれ、木が低くなり、葉が肉厚で小さくなったりと、
自然の表情を楽しみながら登れる山だ。
残念ながらクレアは途中で脱落。
市内で会う約束して別れた。
登り始めてから約4時間ほどで山小屋に到着(標高3,270m)。
私がイメージした山小屋とは全然違って、豪華・清潔のひとこと!
暖房は暑いぐらいにきいていて、シャワーもある。
広い食堂はガラス張りになっていて、山が見渡せる。
高山病にならないため、頭痛薬を予め飲んでいたほうがいいと聞いたので飲むが、
クレアの話が頭を横切る。
明日は2時半出発なので、早々に寝ることにしよう。
果たしてちゃんと目覚めるだろうか……。