ハノイから北西へ列車で8時間ほど行ったところに
ラオカイ(Lao Cai)という中国と国境を接する町がある。
そこからさらに車で山道を1時間ほど上ると、サパ(Sapa)という山岳部に着く。
標高1600mのところだ。
そこには山岳民族がたくさん住んでいて、景色も素晴らしいと本で読んだことがあり、
ハノイからサパへ行くことにした。
町はあいにくの霧。濃霧というぐらい先が見えなくなる。
早朝だったので、宿にチェックインし、早速トレッキングのツアーに申し込んだ。
しばらくすると晴れるからとホテルの人が言ったからだ。
とにかく早く本で見た景色の中を歩きたかった。
案内してくれたのは、モン族の20歳のドームさん。
笑うと金歯が一本光る。
ドームさんを先頭にイギリス人、スイス人、スロベキア人、
フランス人など7人が後ろをついていく。
サパ自体が山の上なので、トレッキングは下りが中心。
最初はコンクリート道を歩いていたが、途中から山道に入った。
山道といっても木があるわけでなく、一面棚田の道を下っていくので、絶景…。
ーのはずだが、あいにくの雨で時々霧がはれるとちらっとそれが見えるだけ。
最初は霧だけだったのが雨に変わり、上からびしゃびしゃと水が流れてきて、
しまいには沢くだりのようになり、体も足も冷え切ってくる。
赤土が靴底にひっつき、どんどん足が重くなってくる。
しまいには滑って転ぶ人も出てきた。
もちろん私も。
晴れると言ったホテルの人が恨めしい。
せめてもの救いは、黒モン族の子どもたちが一緒に歩いてきたことだろうか。
もちろん、お土産を売るためだけど、英語が話せてちょっとした会話が楽しかった。